「応えたかった」──逆子と向き合ったFさんとの時間

基本情報
・年齢:32歳
・妊娠週数:35週5日で初回来院(初産)👶
・逆子と診断され、鍼灸を3回受けたが変化がなく、当院へ
・来院ペース:週2回で計5回の施術を実施
・最終回は帝王切開目前のタイミングでした
逆子の状態と身体の特徴
赤ちゃんの位置と胎位パターン
👶胎児の頭が右季肋部(肝臓あたり)に位置
背中が妊婦さんの右腹側に展開し、足が体の中心部に向いているタイプ
典型的な逆子パターン
お身体の特徴と背景
・左膝の前十字靭帯損傷・手術歴、左鎖骨の骨折による拘縮あり
・それにより、左荷重の習慣と筋緊張が長期間にわたり根づいていた
・動作検査では、右側屈・右回旋に逆子妊婦さん定番な制限
・骨格指標と動きが一致せず、構造的な複雑さを感じた初回でした
施術の方針と経過
初回〜中盤の施術(1〜4回目)
・左荷重に関係する大腰筋・骨盤帯・腸腰筋を中心に調整
・赤ちゃんが右に押し出されている構造に対し、“押し出す側”の左をゆるめていくアプローチ
・「右の腰痛がなくなった」と変化を報告
・胎動もしっかり増えてあるけど、頭の位置だけはずーっと変わらず。
最終回の施術(5回目)
・「今日がラストチャンス」というタイミング
・これまで手つかずだった右季肋部の硬さと緊張に集中アプローチ
・肝臓・腹斜筋・皮膚の遊びを丁寧にとりアプローチ。波が寄せるようなお腹の動きが生まれた
施術者としての実感
・結果として赤ちゃんの位置は変わらなかった
・ただ、「これほど丁寧に向き合って、それでも回らないことがある」という現実に直面
・鍼灸で変化がなかったこともあり、当院には強い期待を持って来てくださったと感じる
・応えたかった。その思いが強く残る症例でした
これを書いている段階ではまだ帝王切開はしておらず、5回目のの施術の結果にすごくすごく期待しているところです。
右季肋部へのアプローチ直後の胎児の、もにょもにょ波うつような動きが期待せずにはいられない!
心に残る一例として
もしも回転は叶わなくても、右腰痛が消えたことは確かな変化
それに伴い、赤ちゃんの胎動や動きも変化していた
5回という短い期間でも、赤ちゃんとの関係性に大きな影響を与えられたと感じる
これから逆子で悩む方へ
|当院では、「ただ逆子が戻ること」をゴールとせず、
|赤ちゃんが“自分の力で回れる身体”をつくることを大切にしています。
母体の左右差、緊張の位置、過去の既往歴、呼吸や感覚の使い方──
それらすべてを見て、お一人ずつ丁寧に対応しています。